メディチ家の墓をあばく X線にかけられた君主たち
カテゴリ:イタリア史
日時:2006/08/25 20:52
フィレンツェ大学、ピサ大学、米ロング・アイランド大学が共同で実施したメディチ家の墓所の調査。
「腐敗した布の切れ端から、ミイラ化した皮膚から、病に冒された遺骨から、X線調査によって一族の栄光と聖性をさぐる、異色のドキュメンタリー。」(帯カバーより) とまぁ、タイトルといい帯といい、魅惑的な単語が踊っているわけだが「骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと」のようなものを期待するとガッカリすることうけあい。発掘調査されたメディチ家の人々の遺体や副葬品こそが重要なのに、そうしたことにはあまり触れられていない。本書のほとんどは、発掘調査の様子や過去の発掘の話なのである。
写真も少なすぎる。文章による遺骨の描写のみで、ページをめくるたびに失望させられる。ごくごくわずかな救いは、ジュリアーノ・デ・メディチの頭蓋骨写真が掲載されていたことか。パッツィ家の陰謀の際に受けたと思われる傷が写真でも明らかに分かり、なかなか興味深い。
でも、頭に浮かぶのはやはり「ガ ッ カ リ」の一言しかない。