戦雲の夢

カテゴリ:小説
日時:2006/01/24 00:04


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秀吉が死に、石田三成と徳川家康の対立が先鋭化する中で、長曾我部家は偉大な元親から経験の乏しい盛親へと代替わりする。

不運なめぐり合わせから、関が原では西軍に組することになる。だが、満足に戦うことも出来ずに敗北、土佐は奪われ牢人へと落とされる。

再び巡ってきた戦乱。遺臣たちとともに大坂城へ入場する盛親の胸に去来するものは……。 久しぶりに読み返した、司馬遼の名作。「功名が辻」や「城塞」「夏草の賦」とともに読むと感慨もひとしおの1冊である。

中央政局が微妙なさなかでの家督相続という不運。そして、通れたがために土佐を得た山内と、通れなかったがために土佐を失った長曾我部。運命を分けた水口ノ関という皮肉(このエピソードは功名が辻にもある)。

他家に仕えてもなお盛親を敬愛する旧臣たちと、彼らが仕官できたことを喜ぶ盛親の話も泣かせる。盛親と弥次兵衛や雲兵衛の関係もよろしい。

確か最初に本書を読んだのは高校時代だったと思うが、これで盛親の印象が180度変わってしまったのをよく覚えている。現実の盛親はともかく、とにかく小説の中の盛親はなんと魅力的な漢であろうか。

いま「功名が辻」だからこそ、千代と一豊が土佐を得た裏で土佐を奪われた盛親にもスポットを当ててやりたいものである。