ろくろ首の首はなぜ伸びるのか 遊ぶ生物学への招待

カテゴリ:生物学
日時:2006/05/06 20:48


 (定価)

在庫切れ (Amazon価格)

なし (Amazonポイント)

 (私のおすすめ度)

在庫切れ

(価格・在庫状況は12月12日 8:23現在)


ヒトの上半身とウマの体を持つケンタウロスの内臓はどうなっているのか? ヒトと魚が融合して人魚になる過程とは? ろくろ首はどのようにして首を伸び縮みさせ、吸血鬼は日光を浴びるとなぜ灰になるのか。

古今東西の空想上の生物を生物学的に検証。 切り口は非常によろしい。あの生物のあの部分の形成メカニズムにアポトーシスを持ってくるなど、その発想には感心させられる点も多々ある。まぁまぁ楽しめた。

が、突き抜け方が足りない。あとがきにて、著者自ら
『鼻行類』を手本として、ジョークであることをオクビにも出さない徹底さでもって本書の執筆に望みたかったのだが、対象がすでに「妖怪」あるいは「幻獣」として有名なものばかりであり、そうする意味もあまりないと判断し
と語っているが、むしろ『鼻行類』のようにとことん真面目な姿勢を貫くべきではなかったか。生物学的知見→ネタになる生物の話題という流れになっており、内容に入り込みにくい。構成でかなりソンをしている感じ。

また、ネタを多く盛り込んだために1つ1つの突っ込みがやや甘い。例えばケンタウロスの場合、考察を内臓の構造で終わらせず、食性や繁殖など生態全般に膨らませても面白かったのでは。

もう少しで和製『鼻行類』が誕生したかもしれない。着想はよかっただけに、実に惜しい。