ライトジーンの遺産

カテゴリ:小説
日時:2005/12/10 12:19


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未来の人類は、突然内臓や骨、皮膚などの臓器が崩壊する現象に悩まされていた。人工臓器が必須となり、それを作る人工臓器メーカーが力を得るようになる。

大手人工臓器メーカー「ライトジーン」は、臓器崩壊を起こさない人間を求めて人造人間を作り出す。しかし、その人造人間が一種の強力な超能力を持っていると知ると、ライトジーン社は世界征服の野望を抱くようになる。ライトジーン社は解体され、人造人間 菊月虹(コウ)はそのどさくさにまぎれて人間社会にもぐりこみ、都会の片隅で自由に生きる。

人工臓器をめぐる事件を解決しながら。 神林長平のハードボイルドSF。人工臓器によって運命を狂わされた人々、反対に人工臓器によって新たな人生を得た人々など、7つの物語からなる連作である。主人公のコウは、お気に入りのウイスキーをやりながら詩集を読んでいれば満足という自由人で、物語世界ではアウトローに属す。そんなコウの描写を読んでいると、その生活がうらやましくもあり、妙にうまいスコッチが飲みたくなる。

能力(詳しくは本書参照)についてのコウの考察や達観は実に神林的。「セシルの眼」悲劇性、「ダーマキスの皮膚」で最後に見えた救い、「エグザントスの骨」の恐ろしさ、まったく毛色は異なるが印象深く優しい気持ちになれる「ヤーンの声」もいい。

神林作品の中ではライトな部類だが、「敵は海賊」のような悪ふざけや「親切がいっぱい」のギャグ調でもない。論理的な難解さがないという意味。気張らずに読める。

ただ、表紙がなぁ。神林本に少女漫画を使うのはやめてくれ。>ソノラマ