猪山直之日記 加賀藩御算用者

カテゴリ:日本史
日時:2010/12/01 23:26

猪山直之日記 加賀藩御算用者 (時鐘舎新書)

猪山直之日記 加賀藩御算用者 (時鐘舎新書)

石崎 建治

北國新聞社出版局

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武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新の主人公、猪山直之の日記の解説書です。日記そのものではなく、日記の原文(翻刻)と現代語訳を例示しながら、直之および猪山家に起こった出来事(昇進や子の誕生など)を紹介。異なる史料を使用しているため、「武士の家計簿」は違う直之の一面が見えてきます。

本書で注目すべき点は、「武士の家計簿」で最も印象的なエピソードの1つ、「絵鯛」についての異説です。髪置きの儀式の際に鯛を用意することができず、代わりに鯛の絵で祝ったというハートウォーミングな話ですが、実は磯田氏の誤読だった可能性が示唆されているのです。 「武士の家計簿」では、猪山家の家計簿の「繪鯛」(「繪」は「絵」の旧字体)という記述から、絵の鯛を使ったとしています。しかし、石崎氏によると直之のくずし字の糸偏と魚偏は似ており、「繪」に見えるのは実は「鱠」(ナマス)である可能性があるというのです。また、「繪鯛」(鱠鯛?)の2文字の間には若干隙間があり、「繪鯛」という熟語ではなく「鱠 鯛」(ナマスとタイ)と読むべきかもしれないとしています。

また、直之の日記によると髪置きの前後にもそれなりの献立の宴会が催されており、髪置きの儀式だけ倹約したとするのは不自然だそうです。とすると、絵の鯛は幻のエピソードであり、実は普通に鱠と鯛で祝ったのかもしれませんね。

ほかにも、直之が仕事上のミスで謹慎させられていたとか、直之の長兄が文言(あやこと)という名でやはり御算用者であったことなど、いくつか新事実が判明しました。おかげで猪山氏のページも若干アップデートできました。

「武士の家計簿」を楽しめた人であれば、本書もきっと楽しめるでしょう。