保元・平治の乱を読みなおす

カテゴリ:日本史
日時:2005/02/05 00:16


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古来、源平の争いであり武士が主役であるかのように語られてきた保元・平治の乱。しかし、これらは王家(天皇家)や摂家の嫡子争い、院近臣やそのほかの貴族の利害関係が複雑に絡んだものだった。

源平争乱時代の前史ともいえる保元・平治の乱の真の姿とは? 実のところ、保元・平治の乱の主導者が公家であり、清盛らはそれぞれの立場で従ったに過ぎないという説は本書が始めてというわけではない。本書は、それなりに独自の視点でこの時代のディテールを追究したものといえるだろう。

血縁の効果を過信しすぎでは? という面はあるが、全体的に論理的で説得力はある。また、系図が頻繁に登場するので、「ソレ系」が好きな人にはよいかもしれない。

それはともかく、ちと笑ってしまったのが、同時期に出版された『義経の登場』(保立道久著)と見解が大幅に異なることである。『保元・平治~』は、それに先立つ『保元の乱・平治の乱』(河内祥輔著)を「河内説は受け入れ難い」として激しく攻撃している。一方の『義経の~』は、河内説に従い、自説の補強に利用している。河内氏の本を読んでいないので何ともいいがたいのだが……『義経の~』はちとナニだからなぁ。