天国にそっくりな星
カテゴリ:小説
日時:2005/04/20 23:17
太陽光に当たると死んでしまう奇病「日陰症」にかかった主人公は、愛する女性とともにヴァルボス星に移住する。ヴァルボスは、太陽光がないのに明るいという不思議な星。地球では夜しか行動できなかった日陰症患者にとって、「天国のような」星だ。
ヴァルボスで私立探偵を始めた主人公のもとに、ヴァルボス人の刑事が仕事を依頼してくる。「ヴァルボス人の犯罪者ザークを見つけること」。調査を始めた主人公は、ヴァルボスの真実にたどり着いてしまう。 神林長平独特の、細切れの文を重ねる一人称の文体。一度ハマるとこれがたまらない。
そして、徐々に見えてきた世界観をいきなりブチ壊される感覚。SFだ。どこかで見たことのある、「アレ」と同じ展開なのか? と思わされた瞬間に、そんな安っぽい世界観ではないことを知らされる。そして安心する。
一見、すっとぼけた話なんだけどねぇ。また、
みたいなノリかと思うとそうではない。なんにせよ、雪風とは別の意味で実に神林長平的な話なのである。