国盗り物語(四) 織田信長(後編)

カテゴリ:小説
日時:2005/08/16 22:39


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信長編とはいえ、むしろ明智光秀を主人公として、光秀の目から見た信長を描いている第4巻。

細川藤孝とともに義秋(義昭)の将軍擁立を目指す光秀の彷徨、信長への仕官、織田家での栄達を経て本能寺へと至る光秀。光秀を嫌いつつも才能を認めて引き立て、本能寺で生涯を閉じる信長の物語である。 光秀をここまで書き込んだ小説はあまりないだろう。そしてまた、その光秀の目を通した信長も魅力的である。現代人ですら、寺を焼いたり仏像を壊すことには躊躇いを覚えるだろう。そのわずかな躊躇いすら超越するほどに、司馬遼が書く信長の合理精神は突き抜けている。

さすがに本能寺の変関係の記述はやや古さを感じるが、「国盗り物語」の本能寺はこれで1つの完成形なのである。