異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念

カテゴリ:科学
日時:2004/10/04 22:46


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ゼロの誕生から現在まで、人類はゼロに何を思い、どのように対応してきたのか? 本書は、ゼロの歴史である。

現代では当たり前の概念であるゼロだが、古代人はゼロを必要としなかったし、ギリシア人は「ゼロの存在」を否定した。ゼロは、「存在しない」という「存在」であり、ギリシア人の哲学になじまなかったのだ。ゼロから導き出されるのは「無限大」であり、パスカルやデカルト、ニュートンといった数学・物理学者を悩ませた。

人類は、「ゼロ」および「無限大」をいかに克服してきたのだろうか? 高校の世界史では必ず習う、「ゼロの発明」。高校の授業ではそれ以上教えてくれないが、人類がゼロを受け入れるにはこれほどの時間と紆余曲折があったのかと驚かされた。

ゼロの克服過程で現れる虚数や微積分、相対性理論に量子論の話には泣かされたが、何とか読みきることができた。高校の数学で赤点をコンスタントに叩き出した俺にしては上出来(笑)。が、高校時代、「2乗してマイナスになる意味が分からん、そもそもあり得ん、何じゃこりゃ」と思っていた虚数が数学の世界に現れた経過はちょっと面白かった。しかし、こんなことを思いつく数学者や物理学者の頭はどうなってるんだ? ホーキングの「虚数時間」とか、いまだに分からん。俺ってとことん文系なんだな。

ちなみに、巻末付録がなかなか面白い。数学で「ウィンストン・チャーチルがニンジンである」ことを証明してみたり、自家製タイムマシンの作り方があったり、なかなか遊び心があるな。