グッドラック 戦闘妖精・雪風
カテゴリ:小説
日時:2005/02/06 14:46
『戦闘妖精・雪風<改>』の続編。前作の直後から物語りはスタートする。雪風はその機体をスーパーシルフからメイヴへと移し、植物状態の零の復帰を待つ。零は、雪風の要求に応えるかのように覚醒するのだった。
再びジャムと接触した零と雪風は、極限の信頼関係で危機を乗り越える。その一方で、事態は大きく動き出す。フェアリイ星は、ジャム、FAF、特殊戦、そして多くの人々の思惑が錯綜する激動期を迎えるのだった。 十数年ぶりに雪風を「改」で再読したからには、グッドラックも再読せねばなるまい。やはり雪風シリーズは面白い。
このシリーズの面白さは、人間と機械の葛藤にある。神林作品の中には、ラジェンドラ対ラテル(「敵は海賊」シリーズ)といった場面もあるのだが、雪風にあのような明るさはない。雪風の葛藤は、他方を排除しかねない危うさを持ったものである。その一方で、強い絆(作品中では別の表現を使っているが)が存在する。
対ジャム戦で、ある危険な賭けに出る雪風。そのやり方に、信頼を示す零。そのとき雪風が表示した「thanks」という文字列……。
このシリーズに続きはあり得るのだろうか? ジャムとの戦いあるいは特殊戦の物語とするなら、まだ何も決着が付いていないといえる。だが、前作から続く人と機械の関係の物語であるとするなら、フォスの言葉で結論が出てしまったのかもしれない。