覘き小平次

カテゴリ:小説
日時:2005/03/15 23:54


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京極夏彦による、古典怪談の小説化第2弾。

押し入れに引きこもり、わずかに開けたふすまの隙間から妻を覘く日々を過ごす役者、小平次。幽霊役として玉川座に雇われ、奥州興行に向かうが、そこで小平次はある事件に巻き込まれる。

巷説百物語』シリーズの又市や治平を絡め、多数の登場人物と伏線が悲劇的な物語りを織りなす。 嗤う伊右衛門』に続く怪談シリーズ。もちろん、伊右衛門と同じく単なる幽霊話にはしていない。ベースとなった『復讐奇談安積沼』よりも切ない話になっている。

また、一見無関係に思える多数の人物が登場し、それぞれが勝手に生きている。そう、リアルな過去と感情を持って生きている。彼らの過去や現在の行動の中に、多くの伏線が仕込まれている。読み進めながら、「これはもしかして……」と思っていると、その伏線が思ったとおりに動き始める。予想以上の展開になる。

やはり京極はよい。

ところで、『後巷説百物語』の単行本版は出ないのかなぁ。「」と大きさをそろえたいのだが。