源氏と日本国王

カテゴリ:日本史
日時:2004/12/13 23:30


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中世以来、多少の例外期間を除いて朝廷と幕府の二元体制が続いた日本。そして、実効権力はともかく、幕府の頂点に立ったのはほとんどが源氏(清和源氏)だった。

しかし、令外官である征夷大将軍という職は、あまり重要な地位とはいえない。また、将軍職を退いた「大御所」が権力を握ることもあり、将軍を権力の源泉とみなせるのか? という疑問が生じる。

本書は、日本を支配する権力の源泉は将軍職ではなく、源氏長者にあると提唱する。 いままであまり注目していなかった氏長者(うじのちょうじゃ)という地位。文字どおり、氏の統率者として各種の権限を得るが、本書を読んで印象が変わることに。そして、氏長者が重要となれば、いままで単に源氏の嫡流としかみなしていなかった村上源氏、特に久我氏に着目せねばなるまい。

そんなわけで、本書は「源氏長者」という地位を中心に、権力の源泉や形成を論じており、この議論はなかなかに専門的で難しい。門外漢の俺にはこの説の妥当性を論じる力はない。ただ、「面白い!」としかいいようがない。

本書は専門的な論説だけでなく、氏姓や源氏などに関するありがちな誤解にも触れている。例えば、源氏が三代実朝で滅んでいると思い込んでいた学生のエピソードが出てくるが、俺の周りには平氏が壇ノ浦で全滅したと思っている人も多い(北条氏も平氏なんだがなぁ)。そうなると必要になるのが氏と名字(苗字)の概念。これも解説されている。

また、よく耳にする「源氏でなければ征夷大将軍になれない」という誤解についても解説されている。

本書の著者が尊敬しているという大庭氏の言葉、
むつかしいことを誰にでもわかるように書いてこそ、プロの研究者であり、教育者なのだ。(中略)大学院の専門教育で教えているような学界最先端の内容を、高校生にもかかるように話せというのが本来の趣旨である。
は、本書にも生かされているといえるだろう。

しかし、講談社現代新書の装丁はショボくなったねぇ。非常に残念だ。