功名が辻 (一)

カテゴリ:小説
日時:2004/12/29 11:16


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久しぶりの司馬遼太郎。

織田信長直臣とはいえ、知行五十石の小身。粗末な具足を着けて痩せ老馬にまたがる貧乏侍山内伊右衛門一豊が、賢妻 千代の内助を受けて土佐一国を領する大名になるまでの物語。仲間由紀恵と上川隆也主演の2006年大河ドラマの原作である。

第1巻は、一豊と千代の婚姻から羽柴秀吉の与力としてのゆっくりとした立身、そして有名な「十両の馬」のエピソードまで。 とにかく賢妻の内助の功で知られる話であり、ともすると千代だけがクローズアップされてしまいがちだが、それだけではあるまい。少なくとも「司馬遼の小説」は、そのようには書かれていない。一豊の突出したところのない人格・能力を個性として描き、その個性こそ得難い才能と見たのではないか。一豊は、確かに信長や秀吉、家康と比較するとダメ武将かもしれないが、本当のダメ武将であればいくら千代が賢妻でも一国の主にはできまい。

ま、それはともかく、千代に乗せられてすっかりその気になったりする一豊が、妙にかわいらしい。戦闘シーンの必死な姿すらユーモラスである。地の文の歴史解説には賛同しかねる点が多々あるのだが、さすが司馬遼。やはり小説としては非常に面白い。