戦国武将の手紙を読む 浮かびあがる人間模様
カテゴリ:日本史
日時:2010/11/29 09:59
本書は、20通の戦国武将の(直筆)書状を取り上げ、そこから垣間見える歴史的事実や戦国武将の死生観、調略や送金といった実務の実態を解説。古文書学の面白さの入り口を知ることが出来ます。
それぞれ、書状の原文(実物の写真)、翻刻(くずし字を活字化したもの)、読み下し(漢字かな混じり古文)、現代語訳で書状の内容が読めるようになっており、誰でも、私でも理解できます。 取り上げられている書状は、
武田信玄書状
北条早雲書状
浅井長政書状
森長可自筆遺言状
武田勝頼書状
石田三成判物
前田利家書状
魚津在城衆十二名連署状
長宗我部元親書状
伊達政宗書状
徳川家康起請文
明智光秀自筆書状
上杉謙信書状
山中幸盛自筆書状
吉川経家自筆遺言状
豊臣秀吉自筆書状
織田信長自筆書状
直江兼続自筆書状
松永久秀自筆書状
毛利元就自筆書状
の20通。
存在が疑問視されていた山本勘助(菅助)の名が記された信玄書状や、伊達政宗の小田原参陣を勧める利家書状、景勝の文をほめる謙信書状、隆元、元春、隆景に向けた元就書状など。
特に、死を覚悟して娘の嫁ぎ先などの手配を依頼している長可の遺言状が印象的です。弟の千丸に跡を継がせるのは「くれぐれいやにて候」(くれぐれもいやでございます)、娘のおこうは京の町人に嫁がせるようにと書き記し、武士の世界から遠ざけようとしています。小牧・長久手の戦いを目前にひかえて死を覚悟している(実際に討ち死にしている)、長可の想いが伝わってきます。